「大人げない大人になれ!」 [処世術]
「大人げない大人になれ!」 著者:成毛眞 発行:新潮社(文庫)
<「大人げなさ」が注目されている!!>
著者は、元日本マイクロソフト株式会社の社長。長年、IT関連の会社にいたところからその若い視点が実にユニークだ。昨今、日本経済は閉塞感の中にあるようだ。政府や各企業は、成長戦略に従い様々な取り組みをしている。しかし、なかなか経済がうまく上昇軌道に乗らない。皆さんも「何か人々の経済行動が大きく変化したのが原因ではないか」などと分析されていることでしょう。モノ産業からコト(情報・サービス)産業への移行や95年あたりからはじまったIT革命の影響がやはり一番大きな変化だったのではないかと。現在移行中の経済社会がきわめて若者文化と親和性があることとも関連があるのかもしれません。そのような時代に、著者は<大人げなさの重要性>を主張します。
<大人げないってどういうこと?>
著者はこの本で「ネオテニー」という仮説を紹介しています。「ネオテニー」とは、進化生物学の仮説で動物が進化の過程で幼さの特徴を保持したまま成長することを意味する。これが必ずしも悪いイメージではなく、むしろ幼さゆえに成長する伸び代が期待できるという点で評価されている。柔軟性・好奇心など優れた能力を引き出す源泉ではないかと。これらの特徴は単に幼稚なものというわけではなく人間にとって根幹をなすくらい大事なものだと思います。<大人げなさ>とは、そのように肯定的に評価してもいいのではなかろうか。
<新世代はやりたいようにやればいい?>
当ブログの筆者も若者世代ですが、「やりたいようにやればいいか?」と問われると正直簡単には返答できないです。しかし、世代を問わず柔軟に好奇心を持って生きていければよいとは思います。結局のところ人間は「今、ここに」集中して各人できるところから歩んでいけばいいのでは。そんな風に読みました。著者も主張しているように、もっと本が多くの人に読まれればなぁと。そんな時には、「大人げない大人になれ!」を読みましょう。巻末には様々な分野の優れた書籍も紹介されています。なにがしか人生のヒントになるのではないでしょうか。